イヤイヤ期は理不尽の連続です。
言葉はそれなりに通じるけど、理屈は通じない年齢なので、まともに向き合おうとすると本当に疲れます。
一言でイヤイヤ期と言っても子どもによって様々なので、対応に正解がないのも辛いですよね。
これをすればOKという行動はないので、試行錯誤の連続です。
そこで、ノス子が体験したイヤイヤ期の子どもへの対応を具体的なエピソードを交えて紹介します。
少しでも活用できそうな声掛けや接し方があったら幸いです。
イヤイヤ期についてより詳しい記事はこちら
イヤイヤ期の対応エピソード|家庭編
我が家で上手くいったイヤイヤ期の声掛けや対応を4つ紹介します。
お風呂イヤイヤ|楽しい気持ちにして誘導
「お風呂入るよ~」
「イヤ!」
「え?でもお風呂でペンギンちゃんが待ってたよ。見てみる?」
あらかじめお風呂に並べておいたおもちゃを見る息子。
「ほら、ペンギンちゃん待ってたから服脱ぐよ~」
子どもは楽しいことが大好きなので、興味を惹けるような楽しいことを用意するとすんなり行動に移してくれます。
お風呂は毎日のことなので、毎日のようにあの手この手を考えていました。
こちらは、我が家で有効だったお風呂の誘い方です。
- 入浴剤を息子に入れてもらう
- 氷におもちゃを入れて、湯船で溶かす
- おふろ回数券を作って、お風呂屋さんごっこをする
- 電車ごっこをして、「終点おふろ駅」に到着する
- どちらが服を先に脱げるか競争する
お風呂に関してはかなりの試行錯誤を繰り返しました。
息子は繊細なタイプで顔に水がかかるのが大嫌いです。
一度顔にかけてしまってからはもう大騒ぎで、もう二度とお風呂に入らないという勢いで拒否されてしまいました。
そこをなだめすかして取りなして、毎日お風呂に入れる日々。
お風呂をこれ以上嫌いにならないように、お風呂は楽しいアピールを欠かしませんでした。
年齢が上がるとともに多少顔にかかっても平気になり、5歳になった今ではめんどくさがることはありますが、嫌がることなくお風呂に入ってくれます。
むしろ、お風呂で遊びたくて出たくないと言い張るほどです。
ごはんイヤイヤ|絵本のまねで食べてみよう
食わず嫌いの息子は、見た目だけで嫌だと思うと頑として口を開けません。
そんな時、こどもちゃれんじの絵本でしまじろうがリスの口(小さな口)で食べるシーンを真似すると食べることができました。
「あーん」
「……(口を閉じる)」
「ちょこちょこっと食べてみよう。リスの口で食べられるかな~?」
「……あーん」(ほんのひとかけらを食べる)
「わぁ!すごい!リスの口で食べられたね!次はカバのお口で食べられるかな?」
我が家はこどもちゃれんじを受講していて、絵本にある「生活習慣」のページがとても役に立ちました。
絵本のフレーズを言うと、息子もしまじろうの真似をしてくれます。
こどもちゃれんじに限らず、大好きな絵本の真似をすることを子どもは喜びます。
好きな絵本に食べるシーンがあったら、そのフレーズを言ってみると食べてくれるかもしれませんよ。
ヤダヤダ帰らない|あそこに石があるよ作戦
「お家に帰るよ」
「やだ!あそぶ!」
「あ、あそこにキレイな石がある!」(帰り道の方向を指さす)
指さした方向に行く息子。
「石あったね~。あ、あっちにはお花があるよ。虫もいるかも!」
いつの間にか公園から出ていて、気持ちも切り替わりました。
帰らないと動かない子どもには、動く理由を作ってあげるといいです。
子どもの興味あるもので誘導して、公園から出てしまえばこちらのもの。
息子は車にも興味があったので、トラックや消防車が通ったときには大いに利用させてもらいました。
興味があるものが近くになかった時は、歩き方を変えるのも有効でしたよ。
「後ろ向き歩きであそこまで歩いてみよう」
「カニさん歩きで競争だ!」
「疲れた」としゃがみこんでしまった5歳の息子にも効果がありました。
あれが欲しい|共感しまくってその場から離れる
「これほしい」
「そうなんだ、息子はこれがほしいんだね」
「うん」
「美味しいもんね」
「うん」
「息子はあのお菓子が好きなんだね~」(話しながらその場から離れる)
上記は上手くいったパターンです。
失敗することも何度もありました。
その場合は無理やり抱き上げて、共感しながらなだめすかして離れました。
「やだ!これ買う!」
「そうか~ほしかったんだね~」(抱き上げる)
「ほしい!買う!!」
「ほしいんだね、美味しいよね~また今度ね~」(その場から離れる)
泣き叫ぶ息子。
抱き上げて共感しまくりながらその場から離れました。
力業じゃないかとも思われそうですが、育児は力業の場面も多々あります。
それでも「ダメ、買わない」と否定するよりは「ほしかったよねぇ…」と共感する方がその後の機嫌の直り方も違いました。
イヤイヤ期の具体的な対応エピソード(保育園編)
ノス子は未満児クラス(0~2歳児クラス)の担任を務めています。
保育の中で上手く対応できたエピソードを6つ紹介します。
様々なタイプの子どもたちがいるので、少しでも参考になれば幸いです。
おむつ替えイヤイヤ|ほかの人に話を振ってみる
Aくんは2歳になりたてのイヤイヤ期真っ最中。
おむつ替えの声をかけると必ず「イヤ」「でてない」と言います。(しかし出ている)
「Aくん、おしっこ出てるからおむつ替えしようね~」
「イヤ!!でてない!!」
「出てないの?じゃあ、〇〇先生に聞いてみようか。〇〇先生、Aくんのおしっこ出ていますか?」
「どれどれ……(確認)あっ!出てるよ!おむつ替えしないとね!」
「出てたって。大変!おむつ替えなきゃ!」
すると、納得しておむつ替えに来てくれるAくんでした。
子どもは愛着がわいた大人に甘えます。
この人ならワガママを言っても許してくれると思っているのです。
お母さんの言葉は聞かないけど、別の人なら話を聞く。そんな場面もあるかと思います。
それを利用して、ほかの人を巻き込むのも一つの手です。
「パパ~!〇〇くんが大きい口で食べるところ見て!」
「終わったらおばあちゃんにできたよって教えようね」
周りに人がいないときは、ぬいぐるみなどを使うのもいいですね。
「しまじろうに見てもらおうね」
「うさぎちゃんがお風呂で待ってるって」
その後は親の「ぬいぐるみアテレコ劇場」で気持ちを盛り上げると、より楽しい気持ちになってやる気を出してくれますよ。
ヤダヤダ帰りたくない|満足するまで待ってみる
Aちゃんがお絵描きをしていると、お家の人がおむかえに来ました。
「Aちゃん、おむかえだよ」
「ヤダ!(机にしがみつく)」
「もっとお絵かきしたかったんだね。じゃあ、ここを塗り塗りしたらおしまいにする?」
「ヤダ!ヤダ!(ヒートアップ)」
「そうなんだね、じゃあ上着の用意して少しだけ待ってるね」
帰りの用意をしつつどうしようか考えていると、クールダウンしたAちゃんが自分から片付けて来てくれました。
「Aちゃん、自分でおしまいできたんだね!片付けてくれてありがとう!」
保育士に言われているときはヒートアップしてしまい、ヤダヤダだったAちゃん。
しかし、少しだけ待つことで自分で気持ちの区切りをつけることができました。
北風と太陽のように、押してダメな時は少し引いてみるのも作戦です。
このケースはたまたま上手くいきましたが、もちろん待っても全然終わらない場合もあります。
待っている間に次の作戦を考えましょう。
回数制限やタイマーで区切りをつけるのも効果的です。
「じゃあ、あと〇回やったらおしまいにしようか」(回数を子どもに選ばせても〇)
「タイマーがなったらテレビ消すね」
おかたづけイヤイヤ|おかたづけもゲームにしちゃおう
お片付けが嫌いなAちゃん。声をかけても遊び続けます。
「お片付けして、ご飯食べようね~」
「……(黙々と遊び続ける)」
「よし、ここにブロック入れる競争だよ。よーいどん!」
保育士が急いだ様子でブロックを片付け始めます。
するとお片付けをする子が何人か出てきました。
「〇〇ちゃん、ありがとう。あ、あっちにもあるよ!こっちにも!」
Aちゃんもいつの間にか加わり、全員で片付けていました。
イヤイヤ期の子どもは「〇〇しようね」と言うと反発する子も多いです。
そんな子どもには「おもしろそう」と思わせて自分から動くような働きかけをすることが有効です。
この場合は他のお友達が楽しそうに動いたから、Aちゃんも動いてくれました。
一人っ子の場合でも、親が楽しい雰囲気を出すと動いてくれることもありますよ。
大人を見ながらイタズラ|過剰な反応をしない
保育士の様子を見ながらわざといけないことをするAくん。
こちらを見ながらテーブルに上っています。
目を合わせずに近づいて、さっと降ろします。
「テーブルから降りるよ。Aくん、一緒に本見ようか」
Aくんが好きな動物の本を出して一緒に読みます。
大人の反応を見ながらいけないことをする子がいます。
それは、注目行動・試し行動というものです。
ある時、テーブルに上ったらお父さんお母さんが慌ててこっちに来てくれた。
「テーブルに上る→お父さんお母さんが来てくれる」と学習してしまい、繰り返すようになった。
子どもは親に見てもらいたい・関わりたいと思っています。
その欲求を満たすために不適切な関わり方をしてしまっている状態です。
この場合は行動に対して大きな反応はしないで、別な関わり方を提示すると良いでしょう。
子どもの欲求は「関わりたい・見てもらいたい」なので、その欲求を別な関わり方で満たしてあげると徐々に注目行動は減っていきます。
おなか出しブーム到来|物理的にできないようにする
最近クラスでおなかを出すことが流行ってしまいました。
一人がやり始めると、みんながおなかを出し始めて収集がつかなくなります。
いつも初めに始めるのはAちゃんです。
今日もAちゃんがおなかを出そうとしていました。
「Aちゃん、お人形がおんぶしてほしいって」
おんぶひもをつけて物理的におなかを出せないようにしました。
そんなことを何日か続けているうちに他の遊びに興味が行き、おなか出しブームは下火になりました。
2歳は前後はお友達と同じことをすることが楽しい年ごろなので、誰かが何かを始めると一気にブームが広がります。
それが大人にとって困ることだったら大変ですよね。
この場合、一人一人のおなかをしまっても効果はありません。
誰かのおなかをしまっている内に別の子がおなかを出し始めるからです。
そこで、一番初めに始める子を抑えることでブームを終わらせました。
言葉だけで止めさせるのは難しいので、お人形をおんぶするという遊びを用意しました。
「物理的にできないようにする+ほかの遊びに興味が向くようにする→不適切な遊びを忘れる」
こんな図式になるような行動がとれるとベストです。
無理やりやめさせると子どもは反抗してより執着するので、あくまで遊びに誘う雰囲気を前面に出した対応をするといいですね。
イヤイヤ絶対に寝ない|足もみマッサージ
Aくんはお布団でごろごろするのが難しいようです。
保育士がついていないと立ち上がってしまい遊んでしまいます。
「今はねんねだからゴロンするんだよ~」(布団に横にする)
「いやー!!」
気持ちをそらそうと話しかけてみました。
「Aくん今日の給食大きな口で食べてたね~かっこよかったよ」
「りんご食べたよね。美味しかったね~」
初めはうんうんと聞いてくれたAくんも徐々に飽きてきてしまい、また起き上がろうとしました。
「ごろんだよ~(横にする)それ、すりすり~」
Aくんの足の裏同士をくっつけてすりすりしてみました。
くすぐったいようで嬉しそうなAくん。
すりすりしていると横になっていてくれます。
しばらくすりすりした後は、足の裏をもみもみ。
少しずつなでなでに移行していき、足をなでなで→おなかなでなでと変化させていきます。
後はひたすらなでなでしている内にAくんは眠っていました。
寝かしつけは育児の悩みTOP3に常に入る悩みですよね。
お昼寝の時にふらふらされると、ほかのお友達もつられてしまうので、なるべくお布団にいてもらうように保育士は頑張ります。
初めはお話をすることで気持ちをそらしていましたが、長く続きませんでした。
そこで、足の裏をすりすりすることで「立ち上がりにくくする+気持ちをそらす」ことに成功しました。
ずっと足の裏すりすりだとくすぐったくて眠れないので、徐々にソフトな刺激になるように変化させていきます。
途中で起き上がりだしたら、すりすりからやり直しです。
そんなことをしている内に眠くなってくるので、うとうとし始めたら焦らず同じ刺激を続けていきます。
ここで変化させると目が覚めてしまうこともあるので注意です。
眠るまでひたすら撫でます。
足の裏マッサージじゃなくても、子どもの気持ちがそれる刺激ならなんでもOKです。
興奮しすぎず、気がそれるような刺激を見つけられたらこちらの勝ちですよ。
まとめ:イヤイヤ期の接し方と言葉がけエピソード10選
いかがでしたでしょうか?
様々なエピソードがありましたが、大事なことがいくつかあります。
- 楽しい雰囲気をつくる
- 気持ちをそらす
- 否定をしない
- 子どもの欲求を満たす
特に最後の欲求を満たすことは重要です。
子どもの欲求を満たすことは、なんでもいうことを聞くわけではありません。
子どもがどうしてイヤイヤするのかを考え、別な方法で満たせるならそれを提示したり、どうしてもできないことなら共感することで気持ちを満たしてあげることが大切です。
日々の生活の中、余裕がないと難しいことも多いですが、少しでも言葉かけのヒントが見つかったら嬉しいです。
イヤイヤ期はあくまで成長過程の一つ。
止まない雨はないように、終わらないイヤイヤ期もないので、様々なことを駆使して乗り切りましょう!