2歳くらいの子どもは、おしゃべりが上手になってきたり感情表現が豊かになってきますよね。
そんな中、気づけばこんなやり取りをするようになっていませんか?
おしっこでてるね、オムツをかえようね
イヤー!!
すぐ終わるからね、こっちきてー
やだやだ!!ぎゃー!!!
子どもは2歳くらいになると、自我が強くなってきます。
今までは素直に「うん」と言うことを聞いてくれた子どもでも、なんでもかんでも「いや!」と言うようになってきますよね。
毎日毎日、イヤイヤに振り回されて親はへとへと……
そんな2歳前後のイヤイヤ期に困っている親御さんに向けて、イヤイヤ期のダメな対応と適切な対応をお伝えします。
ダメな対応と理由を知れば、日々の接し方や子どもの見方が変わってイヤイヤされても冷静に対応できるようになります。
適切な対応ができれば子どものイヤイヤが減るかもしれませんよ。
イヤイヤ期に疲れたお家の方が、少しでも過ごしやすくなってほしいとノス子は願っています。
より具体的なエピソードや対応を知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
保育士であるノス子が家庭や園で経験して成功した対応や声掛け例をピックアップしています。
イヤイヤ期のダメな対応
2歳前後の子どもは自我や自立心がめばえ、自分でやりたいという気持ちが出てきます。
しかし、細かい動きはまだ難しく思ったようにできません。
そして、感情の制御がまだ未熟なために癇癪を起してしまいがちです。
この時期は指示されるのも嫌で、何を言ってもイヤイヤモードになってしまう子もいます。
成長・発達の段階だと分かっていても、毎日続けばうんざりしてしまいますよね。
実は、私もそうでした。
そんな中、これだけはやらないでおこうと心に決めていたことがあります。
「ダメ」で子どもの思いを押さえつける
「ダメ」はつい言ってしまいがちな言葉ですが、その「ダメ」で子どもの思いを押さえつけるのはNGです。
イヤイヤ期の子どもは自己主張のためにイヤイヤをします。
自分はこうしたいと強い思いがあるのですが、それをうまく言葉に表せないため「イヤ」と表現するのです。
そんな自己主張を「ダメ」と一蹴してしまったら、子どもはどう思うでしょうか?
自分の思いを押さえつけられ続けたら、自分の主張は通らないんだと自己主張をしなくなってしまいますよね。
そのため「ダメ」で子どもの意見を押さえつけることはNGなのです。
ただし、緊急な時や命に係わるときは別です。
また、子どもは「ダメ」と言われると反発をします。
何かをしようとしたときに「ダメ」と言われると、それだけでもう聞く耳を持ってくれません。
否定されたと癇癪を起こし、その後のダメな理由なんて頭に入っていきません。
大人でも、何かをしようとしたときに「ダメ!」と止められたら嫌な気持ちになりますよね。
イヤイヤ期の子どもは、その嫌な気持ちを何倍も強く感じてしまうのです。
理由を分かってもらうためにも「ダメ」はなるべく封印した方がいいですね。
脅す・大声を出す
イヤイヤ期、というよりも子育てでは脅したり大声で従わせようとするのは厳禁です。
子供を脅す⁉ そんなことするわけがない!
そう思った方もいると思います。しかし、こんな言葉に覚えはありませんか?
「言うこと聞かないと鬼がくるよ」
「いい子にしていないとサンタさんが来ないよ」
こんな言葉が「脅し」になります。
昔はよく言われていたような言葉なので、つい使ってしまう人もいるかもしれません。
脅しを使うと子どもの心には脅しの言葉だけが残り、叱られた理由を理解できないままです。
例えば、子どもがおもちゃの片づけをしなかったときに「片付けないと鬼が来るよ」と言われて慌てて片付けても、何故片付けないといけないのかを理解できません。
「きれいだと気持ちいいから片付ける」のではなく、「鬼が来るのが怖いから片付ける」とインプットされてしまいます。
そして、その内子どもは本当は鬼が来ないことに気づきます。
すると「鬼は来ないので片付けない」となってしまうのです。
大声も同様です。子どもは親が怒鳴って怖いから言うことを聞きます。
しかし、大声に慣れてくると怖くなくなるので言うことを聞かず、更に大声を出さなくてはいけなくなります。
これでは悪循環ですよね。
交換条件を出す
お家に帰ろうね
ヤダヤダヤダ!!
しょうがないな…帰ったらお菓子あげるよ
おかしたべる!
よくありそうなやりとりではありますが、これは「交換条件」です。
「〇〇したら、△△していいよ」は子どもがすんなり言うことを聞いてくれるので多用しがちです。
しかし、何度も繰り返していく内に「〇〇するから△△するね」に変わっていきます。
「帰ったらお菓子をあげる」と言い続けていたら「帰るからお菓子ちょうだい」と子どもが言うようになってしまうのです。
家に帰る理由は「お菓子がもらえるから」ではなく、「帰る時間だから」ですよね。
2歳の子どもは家に帰る理由を知りません。
その理由が本来のものとは違うものにならないように言葉がけをしていくことが大切です。
イヤイヤ期のダメな対応をしてしまったら
私、イヤイヤ期のダメな対応をしてしまっていた……
そんな方もいるかもしれません。
むしろダメな対応をしたことのない人は、よほど人間のできた人です。
偉そうに言っていますが、実際私も「ダメ」と言ったりお菓子で釣ってしまったりしたことがあります。
分かってはいるけれど、どうしようもない時ってありますよね。
しかし、大丈夫です!
問題なのは、そのダメな対応が日常化してしまうことです。
心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
このような言葉がありますが、子育てでも同じです。
頭の片隅に何がダメな対応かが入っていれば、なるべくその対応は避けようとしますよね。
そのような小さな意識から、子どもへの対応が変わり、子どもの成長の手助けになります。
一度でもダメな対応をしてしまったら子育て失敗?
そんなわけありません
ダメな対応をしていたら、次はしないようにしよう。
そう思うだけでも、何も思わないよりは変わるはずです。
そして、次の時に適切な対応を心掛けられたらもっと変わることでしょう。
それでは、適切な対応とはどのような対応をしたら良いのでしょうか?
イヤイヤ期の適切な対応
適切な対応と言っても、日々のことですからケースバイケースなことがほとんどです。
しかも、その対応が正解だったかどうかは結果論でしかありません。
昨日は「カバさんの口で食べてみよう」で食べてくれても、今日は断固拒否されて皿をひっくり返された。そんなことばかりですよね。
次々に襲い来るイヤイヤを受け流し、日々のタイムスケジュールをこなす。
そのために必要な4つの基本を紹介します。
子どもの気持ちを受け止める
2歳前後の子どもの癇癪は、言葉が出ないことによる癇癪も多いです。
自分の気持ちや思いが言語化できず、すべてを「イヤ」で表現します。
そんな時にすかさず「〇〇がよかったんだね」「〇〇したかったんだね」など、子どもの思いを代弁して受け止めることで、分かってもらえたという安心感から落ち着くことがあります。
おもちゃで遊ぶの楽しいな~
さあ、お風呂に入る時間だよ
イヤー!!
そっか、もっと遊びたかったんだね
このように「もっとおもちゃで遊びたいからお風呂に入りたくない」の気持ちを言葉にすることで、子どもは分かってもらえたと安心します。
もちろん、それだけではお風呂に入ってはくれないので「もう少し遊んでから入ろうか」や「今日は特別、お風呂におもちゃ持っていこうか」などの対応が必要になります。
子どもが「分かってもらえた」と安心したところにそのような対応をすると、なにもしないで対応するよりも聞き入れてもらいやすいです。
子どもの気持ちを受け止めて共感することは、その後の言葉を入りやすくするためのファーストステップです。
また、大人が子どもの思いを言葉にすることで、子どもが思いを言語化する手助けにもなります。
自分で自分の思いを言葉にできるようになると、癇癪がぐっと少なくなりますよ。
気持ちをそらす
「ダメ」って言っちゃダメなら、いけないことをした時はどうすればいいの?
子どもがテーブルの上に乗って遊んでいたら、止めますよね。
しかし、降ろしては上りまた降ろす。そんなことを繰り返しているうちに、上ったら降ろされること自体が楽しくなってしまいニコニコされることはありませんか?
そんな時はシンプルに「危ないから降りようね」と声をかけ降ろしつつ、別なことに気持ちが向くようにすると良いです。
この場合の具体的な対応方法は以下のような感じです。
- 布団の山を作って「こっちなら登ってもいいよ」と登ってOKな場所を作る。
(子どもの欲求を満たせるような代替案を出す) - テーブルの上におままごとを並べて、おままごと遊びに移行する。
(テーブルの上のもので遊ぶことに集中させて、上ることへの意識をそらす) - テーブルのない場所に行き遊ぶ。
(物理的に離れる)
1は活動的な子に有効なことが多いです。
〇〇したい(この場合は登りたい)気持ちを汲んで、その気持ちを満たせるような別の遊びを用意することでテーブルに上らなくなります。
2は他の遊びで気をそらします。
テーブルの上におもちゃを置くことで、上ろうと思う前におもちゃに気持ちを持っていかれるので上らなくなります。
3はその場しのぎではありますが、テーブルに上って親が反応するのが楽しくてしょうがなくなってしまった時は、一度物理的に離れるのも一つの手です。
言いすぎると逆に執着してしまうこともあるので、どうしようもなくなったら離れてしまった方が早いです。
2歳児のしつけは繰り返しです。
毎日の生活の中で根気よく言い続けていく内に、徐々に分かってくれます。
いけないことをしたときは、いけない理由を伝えて気持ちをそらします。
それを繰り返していく内に「これはしてはいけないこと」と分かるようになってきますよ。
見通しを立てる
子どもだから先のことを言っても分からないんじゃない?
いいえ、そんなことはありません。
子どもは親の言葉をよく聞いていますし、話せないだけで理解していることも多いです。
あらかじめ何をするかを伝えておくことで、子どもが気持ちを切りかえる準備ができます。
いきなり遊びを中断されると子どもは嫌がりますが、先に次は何をするか伝えておけば、自分で気持ちを切りかえることもできます。
すると次の行動にスムーズに移りやすいです。
「お片付けしたら手を洗ってごはんを食べようね」
「もう少しでおしまいの時間だよ。これをしたらおしまいにしようね」
「〇〇がしたいんだね。ウンチがでてるから、おむつを替えたら〇〇しようね」
このように、先の見通しを立てられる言葉がけをするといいですね。
できたときにすかさず褒める
子どもは褒められると喜びます。大人だってそうですよね。
例えば、いつもは呼んでも来てくれないけど、今日は来てくれた。そんな時にすかさず褒めます。
すごい!呼んだら来てくれたね。ママ嬉しい!
好ましい行動をした時に褒めると「これをする→褒められる」という図式が子どもの中にできます。
子どもも褒められたいので好ましい行動をとるようになり、親も喜んで良いことだらけです。
子どもは行動にムラがありますから、上手くいくときいかないときとあるとは思います。
しかし、繰り返していく内に少しずつ好ましい行動が増えていきますよ。
また、褒め方にもコツがあります。
- 「〇〇してくれて嬉しい」など、こちらの感情を伝える
- 「お着がえ出来たね」など行動を褒める
- 「自分でズボンに足を通せたね」など一部分でも褒める
こちらの感情を伝えたり行動を褒めたりすることは、子どもにとってシンプルで非常に分かりやすいです。
見たまま、感じたままを伝えればよいので、無理やり褒めた感も出なくなります。
また、一部分を褒めることは褒めるハードルを下げることです。
褒めるところが見つからないよ!と思っても、ハードルを下げれば褒める場面はたくさんあります。
ごはんは残したけど、半分食べられたら「半分たべられたね」
ズボンを履こうとして履けなくても足を通せたら「自分で通せたね」
このように小さなことでも褒めていくことで、こどものやる気が育まれますよ。
まとめ:【具体例あり!】イヤイヤ期にダメな対応と適切な対応
イヤイヤ期のダメな対応は以下の通りです。
- 「ダメ」で子どもの思いを押さえつける
- 脅す・大声を出す
- 交換条件を出す
しかし、一度ダメな対応をしたからといって全てがダメになるわけではありません。
ダメな対応を頭に入れておくことで、ダメな対応が日常化しないことに意味があります。
また、適切な対応はこちらです。
- 子どもの気持ちを受け止める
- 気持ちをそらす
- 見通しを立てる
- できたときにすかさず褒める
イヤイヤ期は子どもの成長発達とともに必ず終わりがきます。
ダメな対応と適切な対応を頭に入れ、しんどいイヤイヤ期を乗り越えましょう。
今、悩んでいるお父さんお母さんが少しでも楽になれたら幸いです。